とみさんの日記

物忘れが激しい世代の備忘録

広告技術とプライバシーと

カレログの話題が落ち着かないまま、スマートフォンのアプリケーションがデバイス内のアプリの起動状況を記録していたり、ドコモのスマートフォンが端末固有のIDを垂れ流しスペックになっている事が議論になっていたりと、プライバシーをめぐる議論が噴出するなか、今週はad:tech tokyoが開催されるわけです。

広告を出稿する企業や、それを掲載する媒体社、それらを束ねる広告代理店にとっては、広告がそれを表示している人の興味をひきつけてナンボな世界でご商売されているわけで、いかに興味を持ってもらうかが最大の関心事であります。

どんな広告を見せれば心が動いてくれるのかは、ラブレターを出す時の心理にも似ています。相手がどんな事に興味を持っていて、何が好きで・・・という事を知った上で、相手がグッと来るであろう言葉を選びぬくわけですね。広告も同じで相手が好きでもなく、関心も無いものについては目に止まらないわけです。
ネット広告屋の収入は、相手の関心を奪って、広告をクリックしてもらって発生する事が多いため、いかにして相手の関心のありかを探ることが重要になってきます。

ただネットユーザーそれぞれが「自分はこんな事に興味がある」と宣言するような機会は少なく、データとしてはSNSのプロフィールか会員制サイトでのアンケート結果くらいしかないわけです。そうなると、相手を理解するためのデータとしては行動記録しかないのですね。逆に行動記録データからは本人の申告とは別に、実際の興味関心に基づく行動の結果としての記録ですから、本人が気付いていない趣向さえもプロファイリングすることができる潜在的な可能性を持っています。

今のネット広告業界の最大の関心事の一つは、これらの行動記録をどのように集めて、どのようにプロファイリングして、それを広告掲載にどのように反映させると、望む成果が極大化されるのかという点です。単独の会社で集められる情報には限りがありますので、それをシェアする動きもあります。

つまりネット広告の会社に取ってみれば、ネット上の行動を仔細に記録している事がビジネスのパフォーマンスに直結する構造があり、それが冒頭に書きました各種のプライバシー(の一部)を覗くかのような技術的な仕掛けを生み出すモチベーションになっているわけです。

データを集める具体的な技法に関しては、仕事柄、いろいろ知るところも多いので、ぼちぼち書いていこうかと思います。